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音楽療法日記|グリーフサポートと終末期ケア|佐藤由美子

グリーフサポートと音楽療法|人生の最期に聴く音楽

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音楽療法のエビデンスと研究結果:科学的根拠を探る

音楽療法のエビデンス

目次 hide
1 音楽療法のエビデンスとは?
1.1 音楽療法の効果
1.1.1 うつ病
1.2 慢性閉塞性肺疾患(COPD)
1.3 乳がん
1.4 癌患者
1.5 緩和ケア
1.6 疼痛コントロール、身体的な安楽度、リラクセーション
1.7 ホスピスケア・寿命
1.8 不安やうつ状態
1.9 音楽療法中に患者とセラピストの脳がシンクロ
2 量的研究(quantitative research)と質的研究(qualitative research)とは?
2.1 心理的問題
2.2 死に近い患者とその家族
2.3 音楽回想法(ミュージカル・ライフ・レビュー)
2.3.1 その他の研究論文(ホスピス・緩和ケア音楽療法)

音楽療法のエビデンスとは?

音楽療法の効果

音楽療法(Music Therapy)はエビデンスに基づく臨床診療です。実際にどのようなエビデンスがあるのか詳しく知りたい方は、米国音楽療法学会(American Music Therapy Association)のサイトをご覧ください。クライエントのカテゴリー別にエビデンス(科学的根拠)が紹介されており、会員でなくてもアクセスできます。

自閉症、アルツハイマー型認知症、軍人、医療、精神科、疼痛コントロール、特別支援学級、刑務所、災害、などさまざまなクライエントや状況に対する音楽療法の情報がエビデンスも含めて掲載されています→Music Therapy with Specific Populations »

※このページで紹介する研究内で行われた「音楽療法」はトレーニングを受け、資格をもった音楽療法によって提供されました。

うつ病

コクラン・レビューでうつ病に対する音楽療法の有効性が紹介されました。コクラン・レビューは信頼性の高い科学的根拠(エビデンス)を提供しており、世界的に認められています。このレビューは、すべての年齢群(青少年から高齢者)の合計421例を組み入れた9件の試験を対象とし、音楽療法の効果を通常の治療および心理療法と比較したものです。

うつ病に対する音楽療法

Music therapy for depression

慢性閉塞性肺疾患(COPD)

2015年にアメリカで、慢性疾患の患者さんへの音楽療法の研究結果が報告されました。研究結果によれば、標準的なリハビリに加えて音楽療法を行った場合、慢性閉塞性肺疾患(COPD)や他の慢性呼吸器症状をもった患者さんのうつ状態を軽減し、生活の質を向上させることがわかりました。続きを読む

Canga, B., Azoulay, R., Raskin, J., & Loewy, J. (2015). AIR: Advances in Respiration – Music therapy in the treatment of chronic pulmonary disease. Respiratory Medicine, 109(12), 1532-1539.

乳がん

2012年~2014年にかけて、アメリカオハイオ州の病院で207人の乳がんの患者さんを対象とし、術前の不安のレベル、麻酔の量、回復時間に関する音楽療法の効果を研究したものです。結果では、麻酔の量や回復時間に有意差は見られなかったものの、音楽療法によって乳がんの女性の術前不安が軽減されることがわかりました。続きを読む(英文)

Conrad, C., & Rahlfs, T. (2016). Effects of Music Therapy on Anesthesia Requirements and Anxiety in Women Undergoing Ambulatory Breast Surgery for Cancer Diagnosis and Treatment: A Randomized Controlled Trial. Breast Diseases: A Year Book Quarterly, 27(2), 115-116.

癌患者

音楽療法のランダム化比較試験をまとめた、コクランのシステマティックレビューでは、「音楽療法の介入が癌患者の不安、痛み、気分、およびQOL(生活の質)に有益効果があると思われる」と紹介されています。続きを読む(英文)

Music interventions for improving psychological and physical outcomes in cancer patients

緩和ケア

1970年から2017年までに発表された、緩和ケアにおける音楽療法のランダム化比較試験のシステマティック・レビューが報告されました(システマティック・レビューとは、関連する研究を批判的に評価し、研究からデータを抽出し、分析すること)。その結果、音楽療法は緩和ケア患者の症状マネジメントのための安全でかつ効果的なアプローチであることがわかりました。

Vesel, T., & Dave, S. (2018). Music Therapy and Palliative Care: Systematic Review. Journal of Pain and Symptom Management, 56(6). doi:10.1016/j.jpainsymman.2018.10.276

※国内でも緩和ケア、ホスピス、在宅医療などの現場で音楽療法を取り入れている所が増えてきており、データを集めている所もあります。2017年に開催された「日本緩和医療学会学術大会」では、北里大学が音楽療法の有効性について発表しました。その報告によると、音楽療法には身体的苦痛や気持ちのつらさを和らげる効果があり、脈拍と呼吸数から判断するとリラクゼーション効果があることがわかりました。

疼痛コントロール、身体的な安楽度、リラクセーション

フロリダのホスピスで80人の患者さんを対象に音楽療法の個人セッションを行い、一回のセッションで音楽療法がもたらす効果を調査した研究。音楽療法士が患者さんやご家族と信頼関係を築きながら、音楽を使ったリラクセーション、ライフレビュー(回想法)、スピリチュアルケア、グリーフケア、心のケアなどを提供。音楽療法の前と後で、疼痛コントロール、身体的な安楽度、リラクセーションについて比較したところ、すべての面で変化が見られました。続きを読む

Krout, R. E. (2001). The effects of single-session music therapy interventions on the observed and self-reported levels of pain control, physical comfort, and relaxation of hospice patients. American Journal of Hospice and Palliative Medicine®, 18(6), 383-390

ホスピスケア・寿命

アメリカの老人ホームでホスピスケアを受けている80人の患者さんを対象に、寿命および音楽療法士やソーシャルワーカーの訪問と患者さんの死亡時刻の関係性について調べた研究。ホスピススタッフが最後に訪問した時期と患者さんの死亡時刻に有意差は見られなかったものの、音楽療法を受けた人たちの寿命に著しい違いがありました。

Hilliard, RE (2004). A post-hoc analysis of music therapy services for residents in nursing homes receiving hospice care. Journal of Music Therapy, 41(4) 266-81.

※アメリカでは病名に関わらずホスピスケアを受けられるため、「ホスピス患者(hospice patients)」と言った場合、癌だけではなく心臓病、COPD、認知症、ALSなども含まれます。

不安やうつ状態

日本のホスピスで行われたパイロット・スタディー(試験的な研究)。10人の患者さんを対象とし、唾液コルチゾルのレベルを測ったところ、音楽療法によってストレスホルモンが低下することが確認されました。また、疲労の度合いに変化は見られなかったものの、不安やうつ状態が軽減されました。

Nakayama, H., Kikuta, F., & Takeda, H. (2009). A Pilot Study on Effectiveness of Music Therapy in Hospice in Japan. Journal of Music Therapy, 46(2), 160-172.

音楽療法中に患者とセラピストの脳がシンクロ

音楽療法のセッション中に、患者とセラピストの脳がシンクロすることが新しい研究によって確認されました。これは、患者とセラピストの関係性を改善する可能性がある画期的な研究結果です。

Anglia Ruskin Universityというイギリスの大学の Jorg Fachner教授とClemens Maidhof教授によって行われた研究。音楽療法のリサーチでは初めて「ハイパースキャン」と呼ばれる手順が使用されました。これは、2つの脳の活動を同時に記録するための方法です。セッション中、セラピストとクライエントがそれぞれEEGキャップ(脳波測定キャップ)をかぶり、脳波が記憶され、セッションは映像にも記録されました。

セラピストは、クライエントと意味のあるつながりが起こる「Moment of change(変化が起こる瞬間)」に向けてセッションを行います。すると、クライエントの脳波がネガティブな感情からポジティブな感情に変化する瞬間が見られます。セラピストはクライエントの変化に気づくと、セラピストの脳波にも同じような変化が見られたのです。

研究者はネガティブな感情とポジティブな感情をプロセスする脳の左右の前頭葉を調べました。そして、ハイパースキャンのデータとビデオ映像を分析することで、セラピストとクライエントの間で脳のシンクロニゼイション(brain synchronization)が起こっていることを確認したのです。同時に、セラピストとクライエント間の「Moment of change」が脳内でどのように起こっているかも示しました。

研究者のJorg Fachner教授は次のように述べています。

この研究は音楽療法における画期的な出来事です。音楽療法士はセッション中、(クライエントとの)感情的な変化やつながりを経験していると報告しています。脳のデータによって、これを確認することができたのです。

音楽療法について語られる際、セラピーにおいて最も大切な「セラピストとクライエントの治療関係」に言及されないことが多いと思います。この研究は、この関係性に焦点を当てた点が興味深いです。

この結果を見て、私は心理学者のユングの言葉を思い出しました。

ふたつの人格が出会うことは、ふたつの化学物質が接触するようなもの。もし何か反応が起これば、両者とも変化する。

The meeting of two personalities is like the contact of two chemical substances: if there is any reaction, both are transformed.
⠀
~ Carl Jung, “Memories, Dreams, Reflections” ⠀

セラピーをしていると、この「Moment of change」を肌で感じる時があります。そのChange(変化)は相手だけに起こっていることではなく、自分にも起こっていることだとはっきりと感じます。

音楽療法士でなくても、医療、介護、福祉、教育、などの分野で活動している方であれば、そのような瞬間を経験したことがあるかもしれません。今回の研究によって、ユングの唱えていたことが脳波によって示されたのです。

Fachner, J. C., Maidhof, C., Grocke, D., Pedersen, I. N., Trondalen, G., Tucek, G., & Bonde, L. O. (2019). “Telling me not to worry…” Hyperscanning and Neural Dynamics of Emotion Processing During Guided Imagery and Music. Frontiers in Psychology, 10. doi:10.3389/fpsyg.2019.01561

量的研究(quantitative research)と質的研究(qualitative research)とは?

音楽療法の研究には、量的研究(quantitative research)と質的研究(qualitative research)があります。ここまで紹介したリサーチはすべて量的研究(定量的研究)と言われるもので、数値データを用いて分析する研究です。一方で質的研究(定性的研究)とは、根本的な理由、意見、動機についての理解を深めるために使用されます。目的やメソッドが異なりますが、どちらも様々な種類の知識を得るために重要な研究です。

以下に、ホスピス・緩和ケア音楽療法における質的研究の例をご紹介します。

心理的問題

死に逝く人々が直面する心理的問題に焦点を当てた論文。グリーフの問題やスピリチュアリティーの側面を調査し、音楽療法士の役割やセッションの目的を提示。

West, T. M. (1994). Psychological Issues in Hospice Music Therapy. Music Therapy Perspectives, 12(2), 117-124.

死に近い患者とその家族

死が迫っている患者さんと家族との音楽療法に関する論文。音楽療法を通じて、患者さんと家族が気持ちを共有できることをケーススタディーを通じて示したもの。

Krout, R. E. (2003). Music therapy with imminently dying hospice patients and their families: Facilitating release near the time of death. American Journal of Hospice and Palliative Medicine, 20(2), 129-134

音楽回想法(ミュージカル・ライフ・レビュー)

ホスピスケアにおける音楽回想法についての論文。過去を振り返り内省することがホスピスの患者さんにもたらす影響を調査し、音楽回想法モデル (Musical Life Review Model)を提示。

Sato, Y. (2011). Musical Life Review in Hospice. Music Therapy Perspectives, 29(1), 31-38. 

その他の研究論文(ホスピス・緩和ケア音楽療法)

Gallagher, L.M., Lagman, R., Walsh, D. et al. (2006). The clinical effects of music therapy in palliative medicine, Supportive Care in Cancer, 14(8) 859–866

Hilliard, RE (2001). The effects of music therapy-based bereavement groups on mood and behavior of grieving children. Journal of Music Therapy, 38(4) 291-306.

Hilliard, RE (2001). The use of music therapy in meeting the multidimensional needs of hospice patients and families. Journal of Palliative Care, 17(3) 161-66.

Hilliard, RE (2003). The effects of music therapy on the quality and length of life of people diagnosed with terminal cancer. Journal of Music Therapy, 41(4) 266-81. 

Hilliard, R. E. (2005). Music Therapy in Hospice and Palliative Care: A Review of the Empirical Data. Evidence-Based Complementary and Alternative Medicine, 2(2), 173-178.

Hilliard, RE (2006). The effect of music therapy sessions on compassion fatigue and team building of professional hospice caregivers. Arts in Psychotherapy, 33(5) 395-402.

Horne-Thompson, A., & Grocke, D. (2008). The Effect of Music Therapy on Anxiety in Patients who are Terminally Ill. Journal of Palliative Medicine, 11(4), 582-590. 

Magill L. (2001). The use of music therapy to address the suffering in advanced cancer pain. Journal of Palliative Care, 17(3), 167-72.

Wlodarczyk, N. (2007). The Effect of Music Therapy on the Spirituality of Persons in an In-Patient Hospice Unit as Measured by Self-Report. Journal of Music Therapy, 44(2), 113-122.

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